Frost Giant

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Card of the Day -今日の1枚- 2016/11/8

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昨日は《霜のタイタン》について書いたが、今日は元祖「霜の巨人」の登場だ。イラストがなかなかに印象的な1枚である。満月と満天の星空の下、見るからに粗野な巨人が棍棒を携え、佇んでいる。霜そのものは描かれていないのに、うっすらとイラストを覆う冷気が、このロケーションの気温を物語る。イイネ。特筆すべき点は巨人が双頭であることか。海外のファンタジーにおける巨人と言えば、一つ目か双頭であることが比較的多い。そもそも「霜の巨人」というものは北欧神話に登場する種族である。大自然の精霊とも呼ぶべき存在で、戦闘力は非常に高かったとのこと。そして、多頭の者も数多くいたとのことである。彼らは人の住む世界とは遠く離れた、ヨトゥンヘイムなる国に住んでいる。このヨトゥンが『コールドスナップ』にて登場した巨人族・ヨツンのモデルである。この《Frost Giant》はそもそも極寒の地に住んでいたのではなく、人あるいは神の力で追いやられているのだとフレイバーテキストには記されている。彼らは長きに渡ってその地に縛られ続けたが、その激情を持って凍えずに過ごしているのだという。こういう、どの背景世界ストーリーとも関係なく、そもそも舞台となった次元すら不明な物語が記されているマジック黎明期のフレイバーテキスト、良いよね。この巨人は北欧神話とは異なり、霜に覆われた地に封ぜられた存在であることがわかる。どちらかと言えば、《霜のタイタン》こそがその前者なのだろう。

 

さて、カードとしては...まず赤い。これは《霜のタイタン》との決定的な差である。ただ、マジックにおいては霜や雪、氷といったものを用いる魔法は青という色だけのものではない。神河においては雪山を力の根源とするものであるため、それらの魔法やクリーチャーは赤が司っている。また、現在では5色すべてに存在するが、マジック黎明期では巨人と言えば赤が担当する種族であった。そして前述の通り、そもそも寒冷地の種族ではないというフレイバーテキストにより、この霜の巨人が青ではなく赤であることには何の問題もないのだ(いったい何を熱弁しているのだろうか)。

 

トリプルシンボルの6マナ4/4ランページ2というスペック。ランページとは、改めて説明すると2体目以降のブロッカーに1体につき+X/+X修正を受けるという戦闘に関するキーワード能力で、このカードが収録された『レジェンド』が初出である。この4/4を2体の2/2で討ち取ろうとすると6/6になるよ、ということ。せっかくマナを消費して出した大型クリーチャーが相手のテンポよく展開した小型クリーチャーの群れに仕留められるのは悲しい、というところから作られた能力なのだろうか。まあ何にせよ、弱い能力である。今後マジックで扱われることは二度とないと思って貰って構わない。そんなランページ持ちの巨人だが...まあ、当時の水準で見れば「デメリットを持っていないだけでマシな高コストクリーチャーである。この頃のクリーチャーは、コストが重い上にサイズもそこまで大きくなく、デメリット能力が異常に厳しいものがやたらと多かった。それらに比べれば、ノーリスクで5回殴れば人が死ぬという性能は悪くない。なんとも低次元な話だが...いかに古き時代のクリーチャーが弱かったか、コイツを褒めることで伝われば良いなって。


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